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JUMP新世界漫画賞
毎月開催の新人漫画賞。現役の連載陣が応募作品を直接評価するので、漫画家としてレベルアップする大チャンス!
締切:2024年9月30日(月)
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昨年行われた新人作家を対象とした「ジャンプの漫画学校」第2期、特別に「食戟のソーマ」原作の附田祐斗先生の講義を、質疑応答までフル収録の全3回で公開します!
※この講義は2021年10月29日に「ジャンプの漫画学校」第2期受講者を対象に行われました。
2022/07/25
わかっているつもりでいたんです。僕は『少年疾駆』で主人公に「チャンピオンズリーグに立つ」という矢印を出させていました。「とりあえず対戦相手を出そう」「キャラを立てるためにチームメイトと会話させよう」とは考えるのですが、それだとキャラの雑談だけになってしまうんですよね。
打ち合わせでもそういう話にはなるんです。「主人公はこういうキャラだから、こういう相手を出そう」とか。それが実感として掴めず「漫画って大体こんな感じだろ」レベルで止まっていたんですね。
Q.「ベクトルの話は作画の佐伯先生としていますか?また、佐伯先生と共有していることはありますか?」
『食戟のソーマ』は特殊なケースで、佐伯先生が大学の先輩だったので付き合いが長く、打ち合わせも担当さんと3人ですることが多いんです。全部共有しているのでスムーズでした。ベクトルの話については、今回の講義みたいな形でお伝えすることはありませんが、「主人公の矢印が…」「敵とこすれていないよね」みたいな話はしていました。
共有については、特に言葉に気を付けていましたね。僕がネームを描いて、佐伯先生がラフを描いて、それを僕と担当さんでチェックするのですが「何か違うんですよね」は言わないようにしていました。「主人公の表情を変えて欲しいです」「我慢の中にやるせなさを加えたいので、例えば眉毛を少し下げるとかどうでしょう」みたいに、できるだけ具体的な言葉で提案していました。そうすると佐伯先生はロジカルな方なので、意図を汲んでより良い絵を入れてくれます。
Q.「附田先生はサッカー漫画から料理漫画まで幅広い作品を執筆されてますが、資料の集め方を教えて下さい」
初代担当の中路さんの影響が大きいですが、関連書籍をすごく読みます。『少年疾駆』は少年サッカーが舞台なので、中路さんが少年サッカーのコーチの自伝を大量に買ってきました。子供たちと接してのトレーニング方法、サッカー選手の名言集、雑誌「Number」の超カッコいい回とか。本からサッカー業界の世界観を知り、ボキャブラリーを増やしていました。料理も同じですね。料理人の自伝を滅茶苦茶読んで、料理学校にも取材に行きました。手ぶらで取材に行っても何を聞いたらいいのか分からないので、まずは本を読んでおき、分からないことを取材先のプロの方に聞きました。あとは、「ソーマ」の場合は森崎友紀さんもいたので。
Q.「大傑作だと思ったネームに対する担当の反応が芳しくなく、ネームが滑っているのか、自分の考えがズレているのか悩んでいます。自分と他人の反応のギャップは、ネームを出す前に埋めることはできますか?」
全然そんなことはありません。僕も傑作だと思ってネームを見せたら「何をやっているのか分かりません」と言われて。その時はファンタジーを描こうとしていたんです。雨雲が龍みたいに襲ってくる話ですが、ちょっと地に足がついていなくて分からない、と。その時に「受賞作が青春学園ものだったから、そっちが向いているのでは」と言われてました。向いているとは、自分が自然と描けるということです。なのでこの質問者の方も、ご自分に向いているジャンルが別にあるのかも知れません。
ネーム全体ではなく、「この台詞、超面白い」と思っていたら滑っている場合、どうすればいいのでしょうね?
あくまで編集が信用できる前提ですが…「こういうものを見せたら、こういう反応だった」を積み重ねていくことかと思います。漫画は「自分の意図が100%伝わるように描く」ことが、誰でもできそうに見えて最大の難関です。頑張って描いたものがもしつまらなかったら誰でも辛いから、内容の出来不出来を考慮せずに「面白いはず」と思い込むのも無理のないことだと思います。ただ、プロで描いていきたいならそれだとやっていけないので、「チューニングする機会を得た」と思って、反応はきちんと受け止める・なぜそう思われたか分析することをお勧めします。
もう1つ思うのは、面白さが伝わらないのはツッコミが足りないのかも知れません。主人公が何かすごいことをしたら、周囲のキャラが「やっぱりアイツはすごい!」みたいなところを見せるといいと思います。「この主人公はこういう見方をして下さい」と合いの手やリアクションを足すと伝わりやすくなります。
Q.「キャラクターにリアリティを持たせるにはどうすればいいですか?」
新人さんの作品で「あの漫画のキャラそのまま」と思うことがあるので、「このキャラは自分だったらこう描く」と自分のフィルターを通すとか、他のキャラと混ぜるとか。あとは具体的なエピソードがバチっとはまるとキャラが立つことがあります。
『食戟のソーマ』の美作昴は最初にバイクで登場しますが、その時に「ちょっと待ってろ」とバイクを停めたら、カバーをかけてローブでぐるぐる巻きにして、さらに南京錠までかけて「待たせたな」と言うような奴です。ネームの時点では最初「こいつ、どんな奴なんだろう」と思いながら描いていました。
Q.「売れている漫画と埋もれていく漫画の、ネームの決定的な違いは何ですか?」
Q.「キャラのベクトルが読者に伝わっていない時はどうすればいいですか?」
Q.「美作のエピソードの話で、丁寧に駐輪場に停めることと、南京錠をかけることの強い・弱いはどういう違いですか?」
Q.受講生に向けて
附田祐斗先生 tsukuda yuto
漫画家。第34回ジャンプ十二傑新人漫画賞で『牙になる』が十二傑賞受賞。2012年〜2019年、週刊少年ジャンプで『食戟のソーマ』原作担当。
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